新しいロックンロール、半世紀前のゴルジェ

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    本記事はGorge Advent Calendar 2015、第十五日目の記事です。
    http://www.adventar.org/calendars/802

    どうもこんばんは、クラーク内藤です。

    「Gorge Advent Calendar 2015」参加のご依頼を受けましたので、ゴルジェとロックンロールについて書きます。
    まず簡単にそれぞれのジャンルの説明をします。

    ■「ゴルジェとは」
    まずゴルジェとは何か?というと、僕なりに凄い乱暴に言うと「タムを多用した岩山っぽい音楽」です。
    ジャンルの詳細や最近の日本国内でのゴルジェの動向については、
    dubstronicaさんのブログがわかりやすくまとめられていたのでこちらをご覧ください。
    http://dubstronica.hatenablog.com/entry/2015/12/02/000000

    ■「ロックンロールとは」
    ロックンロールとは「1950年代にアメリカで生まれたビートを主体とした若者向けの音楽」です。
    「白人のカントリー音楽と黒人のブルース・R&Bが混ざった音楽だ」とか、
    「元々は黒人スラングで『セックス』の意味だが、ラジオDJのアラン・フリードが黒人の音楽を放送する際にそう名付けて紹介した」
    などど説明される事が多いです。

    ■「僕の音楽」
    僕の音楽はなかなか説明されづらいのですが、ロックンロールから影響を受けて始めた事だけは間違いありません。
    10代の頃に新旧問わずロックンロールと呼ばれる音楽をきいて、自分もこういう音楽を作ろうと思いました。
    良い悪いはさておき、その気持ちのまま今まで音楽を続けています。
    ロックンロールの音楽スタイルと概念を自分なりに踏襲したり壊したりしながら活動しています。

    今年、僕はGORGE.INから「PEBBLES FROM THE GRAVE」というEPをリリースしました。
    このEPのリリース以降、僕の音楽を「ゴルい」と言ってもらえたり、
    また僕の事を「ゴルジェの人、ブーティスト」として認識してもらう機会も増えました。
    とはいえ「ロックンロールがやりたい」という最初の目的から外れた音楽を作ったわけではないです。
    「出発点からの延長でこうなった」という気持ちも希薄で、どちらかというと「原点を突き詰めてこうなった」という気持ちの方が強いです。
    ゴルジェでありながらもロックンロールだと言えるのは、そもそもその2つは一緒だと思っているからです。
    ゴルジェは新しいロックンロールであり、ロックンロールは半世紀以上前からあるゴルジェです。
    そう思う理由についていくつか書きます。

    ■「現代のビート」
    ロックンロールが「1950年代にアメリカで生まれたビートを主体とした若者向けの音楽」だという事は先ほど書きました。
    21世紀に日本でロックンロールをやろうとすると、これを文字通りに全てを踏襲するのはなかなか困難です。
    まず僕自身が1950年代のアメリカにいるわけではなく、21世紀の日本に存在しています。
    その僕が1950年代のアメリカで生まれた音楽のスタイルを追求すると、
    「若者向け」が希薄になり「上の世代向け」「懐メロ」になってしまう可能性が出てくる。
    当時ロックンロールをきいたりプレイしていた若者は、「この音楽こそ最新で、今の自分の気分にフィットしたものだ」と感じていたのではないかと想像します。
    僕はそのフィーリングを重要視する事にしました。
    CHUCK BERRYのようにギターを弾けなくても、CHUCK BERRYのように(またはそれ以上の)衝撃的な事をやりたい。
    なので「その時代ごとの」「ビートを主体とした若者向けの音楽」をロックンロールとしようと思いました。
    そういう「ロックンロール目線」で音楽をきくとヒップホップやテクノは勿論、民謡にもその時代ごとの誰かの「これが今の自分の気分だ」という息吹を感じる事ができて楽しいです。

    これは絶対に誤解されたくない事なのですが、ロックンロールのスタイルを忠実に踏襲した現在の音楽を否定しているのではありません。
    スタイルを踏襲、追求しながらもエッジのきいたロックンロールバンドはいっぱいいるから、
    僕一人ぐらいはちょっと違う視点、スタイルで活動してもいいだろうと思ったのです。
    むしろ不変のスタイルを貫く人達が今もいるからこそ、不埒で不真面目な視点の僕みたいな存在が許される、その隙間が生まれるのだと思っています。
    そんなゴタクは抜きにしても、単純にそういう人達のライブを見たり音楽をきいてブッ飛ばされる事はしょっちゅうあり、
    その度に「ロックンロールはロックンロールだなぁ」と痛感します。

    ■「ロックンロール的なゴルジェ」
    「現代のビート」をロックンロールとしよう、ラフに言うと「最新のカッケービートをロックンロールとしてしまえ」と思ったわけですが、
    こう言ってしまうとEDMや、JUKE/FOOTWOK、ボカロ含め、現存の音楽全部ロックンロールだという話にもなります。
    確かにそれらの音楽にも好きなものはありますし、ロックンロールと感じるものもあります。
    しかしそれらの新しい音楽の中でもとりわけ「ロックンロールと親和性があるっていうよりほとんど一緒じゃないか」と感じるのがゴルジェです。

    ここで僕が好きなゴルジェを一曲きいてみてください。
    日本のゴルジェのパイオニア、hanaliさんの「Tom Boy & Tom Girl 」という曲です。
    https://soundcloud.com/hanali/tom-boy-tom-girl
    サウンドの荒々しさやテンポ感、曲の短さやシンプルさ等が非常にロックンロール的だと思っています。
    頭で考えるよりもパッときいた時の印象でまず「ロックンロールとゴルジェは一緒だ」と感じました。

    また、ゴルジェには3つのルールがあります。

    1:Use Toms(タムを使うこと)
    2:Say it Gorge(それがGorgeと言うこと)
    3:Don't say it Art(それがアートだと言わないこと)

    この中の3つ目のルール、「アートだと言わないこと」、
    これは「敷居の高いありがたいモノになっちゃいけないよ」というような事ではないかと僕は解釈しています。
    これはロックンロールの姿勢と一緒です。どちらも受け手の気分や生活にダイレクトにフィットする事が重要視されているのだと思います。
    また、寺山修司の本の言葉をかりるなら「スローガンなき扇情」とでも言うような、無意味な興奮を求めるような姿勢もロックンロールとゴルジェには共通しているように思います。
    それはゴルジェとラップを混ぜてゴルラップをはじめた志茂田景樹さんの 「やっちゃえ やっちゃえ やっちゃえ〜 今しかねえぜ」という歌詞にも顕著に表れています。

    ■「ゴルいロックンロール」
    ロックンロールの中からサウンド的に最も「ゴルい(ゴルジェ的にカッコイイ)」ミュージシャンを1人選ぶなら、BO DIDDLLEYです。
    BO DIDDLLEY自身はギタリストですが、ニューオリンズのセカンドラインというリズムをタムで鳴らす曲が多く、
    そのリズムは「ボ・ビート」「ボ・ディドリー・ビート」と呼ばれています。
    本人の名前をタイトルにした「BO DIDDLLEY」をはじめ、ゴルい曲はいくつもありますが、ここでは「PRETTY THING」という曲を紹介します。

    タムを基調としたリズムも勿論ゴルいのですが、少し不気味なエコー、リバーブ感も僕はゴルいと感じます。
    岩山の奥深くの洞窟にいる男が、そこから抜け出す事もできずに、いつかの恋人を思いながら「そばに来てくれないか」と呪うように祈っている、そんな風にきこえます。
    これがゴルジェでなければ何がゴルジェか、と強く思います。
    ゴルジェをきいて「自分の好きな音楽と一緒だ」と感じた理由は、BO DIDDLLEYの音楽があった事が大きいです。

    BO DIDDLLEYの他にもゴルいロックンロールは沢山ありますが、
    BO DIDDLLEYの影響を受けて「PRETTY THING」の曲名をバンド名にしたTHE PRETTY THINGSや、THE MONKS、THE STRANGELOVES、LINK WRAYなどがあげられます。
    LINK WRAYはインディアンの血筋である事が関係してるのか、土着的なリズムのロックンロールが多いです。
    「Comanche」や「Law Of The Jungle」「Deuces Wild」などの曲が特にゴルいです。 
    コンピレーションだとタイトル通りジャングルっぽいロックンロールを集めたコンピ、「Jungle Exotica」がゴルいです。

    ■「最後に」
    ゴルジェとロックンロールが同じだという事を書いてきました。
    どれだけ新しい音楽を求めたり、今の自分に合った音楽を探したり作ったりしても、
    自分が生まれる遥か前の音楽と繋がってしまうという事は凄くロマンチックだと思います。

    また、時代も場所も超えて会った事もない人と「それな」とコミュニケーションできる事や、
    同じ時代にいながらも全く違う音楽をきいたり経験をしてきた人達に出会い、
    「それカッコイイね!」とか「なんかそれわかる!」とコミュニケーションできる事、
    それは興奮するし、初対面の旧友に会えたような嬉しさがあります。

    「ロックンロールが最高で不変なのだ!だからこそ僕は!THE SONICSのCDを!JOHNNY THUNDERSのCDを!
    売り払う!絶対忘れないからだ!キエーッ!!」
    などと1人で(主に深夜のジョナサンで)ジメジメ考えるひねくれた10代を送ってきましたので、
    後から思うと「バカだなぁ、しょうもないなぁ」と思い恥ずかしくなりますが、
    こういったゴルジェとの出会いや感動があると、まぁそういう過去の自分にも「やっちゃえ やっちゃえ〜」と
    少しは肯定的に声をかけてあげられるような気持ちにもなります。
    あ「予想通り買い戻したよ〜」って事も教えたいですね。

    まだ「ゴルジェとロックンロールは同じだ」という事を証明したい気持ちがありますので、
    12月中にロックンロールのゴルい部分をまとめたビートテープ的なものをbandcampにて配信予定です。
    タイトルは「ultimate garagepunk breakbeats is gorge」にしようかなと思っています。
    今しばらくお待ちください。

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